NO.21 噬嗑(ぜいごう="Gnawing Bite"):困難をかみ砕く、刑罰の実行

噬嗑(ぜいごう="Gnawing Bite")sb


 




噬嗑(ぜいごう="Gnawing Bite")


⚊ 6th:陽:上9(Upper9)
⚋ 5th:陰:65
⚊ 4th:陽:94
⚋ 3rd:陰:63
⚋ 2nd:陰:62
⚊ 1st:陽:初9(First9)

※上9(Upper9)、65、94、63、62、初9(First9)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。

噬嗑(ぜいごう="Gnawing Bite"):困難をかみ砕く、刑罰の実行
噬嗑(ぜいごう="Gnawing Bite"):困難をかみ砕く、刑罰の実行。

構成の解説

上卦(Upper trigram)
「☲ 離(り:Li)」="Radiance":太陽・火・文明・付着する

下卦(Lower trigram)
「☳ 震(しん:Zhen)」="Shake":雷・地震・物事の胎動・妊娠

上の「☲ 離(り:Li)」="Radiance"は智慧を意味し、下の「☳ 震(しん:Zhen)」="Shake"は雷のような威嚇をあらわす。

この卦(Hexagram)は、すばやく刑罰を執り行う形。

障害となるものをかみ砕くという意味が、道に従わぬものを罰するという意味にもなる。

この卦(Hexagram)は問題解決をめぐるさまざまなケースを取り扱っている。


卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)

「あなたの願いは実現する。刑罰を実行すると状況はいい方向に行く。」

卦辞 噬嗑は、亨る。獄を用いるに利あり。 (噬嗑、亨。利用獄。)

<䷔ 噬嗑(ぜいごう="Gnawing Bite")>は、<䷚ 頤(い="Swallowing")>の中に物が入っています。


<䷚ 頤(い="Swallowing")>







<䷔ 噬嗑(ぜいごう="Gnawing Bite")>



⚊ →物がはいっている


この卦(Hexagram)は口の中にあるものを「かみ砕く」という意味になります。

94は、邪魔なもの。問題。障害。

それがかみ砕かれるので、あなたは願いがかないます。

上の「☲ 離(り:Li)」="Radiance"は智慧を意味し、下の「☳ 震(しん:Zhen)」="Shake"は雷のような威嚇をあらわします。

この形は電光石火のような明察と実行力で問題を解決するイメージです。

人の世の問題は、人の道を外れたものが災いを引き起こしていることが多いです。

災いをかみ砕くためには、まずは刑罰を実行することです。

決まりを守らない人がいるのは、しっかりしたペナルティ規則がないからです。

問題解決にあたっては、仕組みを作るのと合わせ、罰則も整備する必要があるのです。

<䷔ 噬嗑(ぜいごう="Gnawing Bite")>は「陽」が三つ、「陰」が三つでバランスがとれています。

また65は君主ですが、「陽」が入るべき五番目の位置にいる「陰」です。

五番目の位置にいるので彼は中庸ですし、公平な規則を作ったり、罰則を実行するには適しています。

刑罰の実行者は、公平で聡明であるのが大切です。

今は困難な問題を解決していくべき時期です。

一歩一歩やりましょう。


◇ひと言アドバイス(象)

システム、枠組み、規則、法を整備しよう

上はイナズマ、下は地鳴り、閃光が走り雷がとどろく、というのが<䷔ 噬嗑(ぜいごう="Gnawing Bite")です。

ここでは、システム、枠組み、規則、法を整備することがあなたに推奨されます。

法というのは、ただあるだけではあまり意味がなく、ペナルティや罰則をしっかり整備してこそ安定するものです。


爻辞(こうじ=Explanation of the Lines)

噬嗑(ぜいごう="Gnawing Bite")
⚊ 6th:陽:上9(Upper9)
⚋ 5th:陰:65
⚊ 4th:陽:94
⚋ 3rd:陰:63
⚋ 2nd:陰:62
⚊ 1st:陽:初9(First9)

※上9(Upper9)、65、94、63、62、初9(First9)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。

1st 陽 初9=First9(初爻:陽位)

「足かせをはめられて罰せられ、彼の足は傷つく。しかし問題はない。」

初爻 初九、校を履いて趾を滅ぶる。咎なし。 (初九、屨校滅趾。无咎。)

(※一番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)


この卦(Hexagram)においては、初9(First9)と上9(Upper9)が刑罰を「受ける」ものです。

初9(First9)は、この卦(Hexagram)の最初で、犯した罪は大きくはありません。

彼は足かせをしばらくつけられる程度で済みます。

最初にこうした刑を受けるので、彼は今後は過ちを犯さないようになります。

むしろ最初に罰せられるのはいいことです。

良薬は口に苦し、でいい教訓を得ましょう。


2nd 陰 62(二爻:「中」位置:陰位)

「彼は厳しく刑を実行し、受刑者は鼻を柔らかい肌で殴られる。やむをえないケースなので問題はない。」

二爻 六二は、膚を噬んで鼻を滅す。咎なし。 (六二、噬膚滅鼻。无咎。)

(※二番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。「中庸」を意味する場所。)


62は「陰」で、「陰」が入るべき二番目の位置にいます。

立場と性格がマッチしている状況。

62は二番目の位置にいるので中庸、裁定者としてはふさわしい人物です。

ここで裁く相手は、野心家の「陽」、初9(First9)です。

初9(First9)は凶暴、我が強いので手厳しい罰が必要です。

62は、鼻が身体の柔らかいところにのめり込む程度で彼を厳しく殴ります。

この爻(Line)が出たら、少し手厳しく相手を罰しましょう。


3rd 陰 63(三爻:陽位)

「あなたは、堅い干し肉を食べて、食中毒を起こす。少し面目を失うが、問題はない。」

三爻 六三は、腊肉を噬んで、毒に遇えり。小しく吝。咎なし。 (六三、噬腊肉、遇毒。小吝。无咎。)

(※三番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)


63は「陰」で、「陽」は入るべき三番目の位置にいます。

判断力に欠けた人が、刑罰の執行者になっています。

彼は二番目、五番目の位置を外れているので中庸ではありません。

彼が刑を実施すると相手から思わぬ抵抗を受けることとなり、面目を失います。

ちょうど堅い干し肉をかんで、食中毒に合うようなものです。

が、この卦(Hexagram)は刑罰を実行すべき時にあたっているので、相手が反発しても刑を実行して問題はありません。


4th 陽 94( 四爻:陰位)

「あなたは、かなり堅い干し肉をかんで、中に埋まっていた金の矢じりをかみあてる。状況の困難さを自覚して慎重に事に当たりなさい。そうすれば吉である。」

四爻 九四、乾胏を噬んで、金矢を得たり。艱貞に利あり。吉。 (九四、噬乾胏、得金矢。利艱貞。吉。)

(※四番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。)


94は「陽」、行動力と実行力をもっています。

ですが、94がいる場所は「陰」が入るべき四番目の位置。

彼は刑罰を厳しく実行できない立場です。

でも彼は「陽」、厳しく刑罰を実行してしまいます。

かなり堅い干し肉は、受刑者の激しい抵抗を象徴しています。

94は受刑者からひどく抵抗されて難儀するでしょう。

しかし、彼は刑を実行し、「黄金のやじり」をかみあてる、というのがこの爻(Line)のイメージです。

思わぬ幸運な結果を得る暗示です。

しかし状況は難しく、あなたは重々に用心して行動する必要があります。

慎重ならば、いい結果となるでしょう。


5th 陰 65(五爻:「中」位置:陽位で君位)

「あなたは、柔らかい干し肉をかんで、黄金をかみあてる。自分をつねに振り返りつつ慎重に行動すれば、問題は起こらない。」

五爻 六五、乾肉を噬んで、黄金を得たり。貞厲なり。咎なし。 (六五、噬乾肉、得黄金。貞厲。无咎。)

(※五番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。「中庸」を意味し、君主を意味する場所。)


65は、五番目の位置、君位にいる代表者です。

65は「陰」、本来ここに入るはずの「陽」に求められる実行性や果敢さはありません。

ですが、彼は五番目の位置が意味する中庸さを持ち、公平です。

彼は刑罰を正しく実行するし、彼には君主の威厳もあるので抵抗もあまりうけません。

なので「やわらかい干し肉」です。

彼は刑罰を実行しているうちに、「干し肉の中から黄金をかみあてる」のですが、黄金とは94のことです。

65はしっかりした補佐役となる94を見出します。

この爻(Line)が出たら、常に反省しながら仕事をすれば、頼りがいのある補佐役を得て問題は起こらないでしょう。


6th 陽 上9=Upper9(上爻:陰位で無位)

「彼は、上半身にかせをはめられる。かせで擦れて耳が傷つく。凶。」

上爻 上九は、滅(かせ)をにないて耳を滅(やぶ)る。凶。 (上九、何校滅耳。凶。)

(※六番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。属性がない場所。)


上9(Upper9)と初9(First9)がこの卦(Hexagram)では受刑者です。

上9(Upper9)は究極点にいます。

六番目の位置は本来は「陰」が来る位置、彼がおとなしくしていなければならない場所です。

しかし、上9(Upper9)は「陽」です。

上9(Upper9)は気が強く、前科者。

彼は繰り返し法を犯し、反省しないので、重い罰を受けます。

彼は上半身にかせをはめられ、耳がすれて傷つきます。

この爻(Line)が出たら、最終的にこのようにならぬよう、くれぐれも反省してください。

卦辞
噬嗑は、亨る。獄を用いるに利あり。
(噬嗑、亨。利用獄。)
初爻
初九、校を履いて趾を滅ぶる。咎なし。
初九、屨校滅趾。无咎。
二爻
六二は、膚を噬んで鼻を滅す。咎なし。
六二、噬膚滅鼻。无咎。
三爻
六三は、腊肉を噬んで、毒に遇えり。小しく吝。咎なし。
六三、噬腊肉、遇毒。小吝。无咎。
四爻
九四、乾胏を噬んで、金矢を得たり。艱貞に利あり。吉。
九四、噬乾胏、得金矢。利艱貞。吉。
五爻
六五、乾肉を噬んで、黄金を得たり。貞厲なり。咎なし。
六五、噬乾肉、得黄金。貞厲。无咎。
上爻
上九は、滅(かせ)をにないて耳を滅(やぶ)る。凶。
上九、何校滅耳。凶。

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