NO.1 乾(けん="Force"):天の道、王道


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乾(けん="Force")



6th:陽:上9(Upper9)
5th:陽:95
4th:陽:94
3rd:陽:93
2nd:陽:92
1st:陽:初9(First9)

※上9(Upper9)、95、94、93、92、初9(First9)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。
乾は始まりのエナジー。王道。
乾(けん="Force"):天の道、王道。象徴は天。

構成の解説

上卦(Upper trigram)・下卦(Lower trigram)両方とも
「☰ 乾(けん:Qian)」="Force":天・始まりのエネルギー・男性原理・積極・能動的

世界を構成する陽と陰は、それぞれ<䷀ 乾(けん="Force")>、<䷁ 坤(こん="Field")>に象徴される。<䷀ 乾(けん="Force")>とは、天。また絶えず前進していく活発なエネルギー。あらゆる健全なものの源。立ちのぼる創造力。

易経では、すべての「始まり」として<䷀ 乾(けん="Force")>と<䷁ 坤(こん="Field")>を置くが、<䷀ 乾(けん="Force")>は、動き始めのエネルギーを意味している。

あらゆるものは、これら二つから始まり、これら二つによって構成される。これは絶対的な二元論である。易経はこの二元論ですべてを考える。

二進法としては、0と1の1を意味するのが<䷀ 乾(けん="Force")>である。

それは天の原理でもあり、王道、すなわち王者の究極の在り方を示す。

易経では万物の始まりとして、<䷀ 乾(けん="Force")>と<䷁ 坤(こん="Field")>には特に多くの説明が加えられている。


用九(Use9)

□ 6th:老陽(変爻=Change)
□ 5th:老陽(変爻=Change)
□ 4th:老陽(変爻=Change)
□ 3rd:老陽(変爻=Change)
□ 2nd:老陽(変爻=Change)
□ 1st:老陽(変爻=Change)

用九(Use9)というのは、<䷀ 乾(けん="Force")>を構成しているすべての爻(こう=Line)が変爻(へんこう=Change)している場合。

通常は、変爻(へんこう=Change)が二つ以上の場合は、占いをやり直すのが原則である。

しかし<䷀ 乾(けん="Force")>と<䷁ 坤(こん="Field")>に限っては、すべて変爻(へんこう=Change)の場合、非常に特殊なケースとして尊重されている。

「用九(Use9)」、「用六(Use6)」と呼ばれる。

易経は「用九(Use9)」と「用六(Use6)」の特別な説明を付けている。

この二つしかこうしたケースはない。


卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)

「あなたは、大きな創造の力が満ち満ちている。願いは大いに実現するし吉である。ただし、動機が正しく、正しさを持ち続けて、初めて恩恵がある。」

卦辞 乾は、元いに(おおいに)亨(とお)る。貞しき(ただしき)に利あり。  (乾、元亨。利貞。)

<䷀ 乾(けん="Force")>に示されるエナジーを、易経では龍にみたてています。

地中から天に上り、雲を集め雨を降らせ、すべてのものに命を吹き込む偉大な男性的で創造的なエナジー。

このエナジーの純粋な表れが<䷀ 乾(けん="Force")>です。

易経では、すべての<卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)>に対して<彖(たん=a short hexagram statement)>という解説が付けられています。

オリジナルな易経は、<卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)>と<爻辞(こうじ=Explanation of the Lines)>だけだったと思われます。

が、<彖(たん=a short hexagram statement)>はそれに儒教のグループが解説を付けたと考えられているものです。

<䷀ 乾(けん="Force")>と<䷁ 坤(こん="Field")>についてはさらに特別に、「文言」という解釈も付けられています。

64卦(64Hexagrams)の始まりに来る<䷀ 乾(けん="Force")>を古来、易経の執筆者たちはものすごく重視していたことがわかります。

ここでは<彖(たん=a short hexagram statement)>を現代語に意訳しておきます。

「大いなるかな、始まりの源である<䷀ 乾(けん="Force")>は!万物はすべてここから始まった。そして<䷀ 乾(けん="Force")>のエナジーは、いまだに天を支配している。雲が動いて雨をもたらし、天の偉大な気はあらゆるものにその形を与えてくれている。こうした世界のしくみをよく理解すれば、六つの爻(こう=Line)が示す偉大な時の成り立ちを理解することもできるし、必要な時、<䷀ 乾(けん="Force")>が爻(こう=Line)で暗示する六頭の龍に乗り、天の動きに沿って天空を行くこともできるだろう。<䷀ 乾(けん="Force")>の示す道は常に変化する。すべてのものの性質はここから発生してきている。

こうしてできあがった宇宙の調和のことわりを深く理解し、世界の調和を保持して守る。それが”正しい生き方をすることで利益がある”と卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)に書かれることの真意である。この道を身に着けたものが指導者として人々の中から出現することで、すべての国はやすらかに治まる」

実際に占って<䷀ 乾(けん="Force")>が出ることはめったにないですが、これが示すのは、原初の宇宙の推進力です。あらゆる動機のはじまりというイメージなので、占うものにとっては、正しくこの上ない、めでたい状況を暗示します。

<䷀ 乾(けん="Force")>に象徴される「陽」の力というのは、太陽の光をイメージするとよいと思います。

太陽のエネルギーは、地上に降り注ぎ、光合成であらゆる命の元となり、大気を温めて地上世界を生命が活動できる状態にしています。

そのように非常に活発な、男性的な健全さによる創造的エネルギーが満ち満ちて、今まさに動き出そうとしている、というシチュエーションが<䷀ 乾(けん="Force")>に示される時間です。

占って<䷀ 乾(けん="Force")>を得た場合、基本的にはどのようなことでも今は純粋な動機と推進力があるのでできそうです。

積極的になんでも進めていっていい時期であることを表します。また、それは人生において幾度もないような大きなチャンスの到来です。

どんなことでもこの「はじまりの動機」のもとでは行うことができそうです。

しかし、大事なのは条件が付いていることです。

「正しい生き方をすることで利益がある」、つまりは宇宙の法則、人間界の法則に適合した形で事態に臨み続けてこそ、大いに願いは通り、すべてうまくいく、ということです。

そして、万物はたえず変化していくものですから、なにをもって正しいか?ということは、決まりきった答えはありません。

自分の行いの正しさってなにか?調和とはなにか?世界を支配する原理とはなにか?そういったことを問い続けることが<䷀ 乾(けん="Force")>における「正しい生き方をすることで利益がある」です。


易経では、卦それぞれに、「象(しょう)」という「ひと言アドバイス」が付けられていますが、<䷀ 乾(けん="Force")>については以下のようにあります。

◇ひと言アドバイス(象)

私欲に打ち勝ち、絶えず努力しよう

「天の運行原理そのものが<䷀ 乾(けん="Force")>である。天はたえず昨日も今日も明日も、時間を作り続けている。君子はこれにならい、自分を高めていく努力を欠かすことはないものだ。私欲に打ち勝って、自分を高めていくよう絶えず努力しなさい」

人間は努力することで自分を高めることができます。

<䷀ 乾(けん="Force")>はかつてないチャンスが訪れていたり、状況が最高なタイミングが来ようとしたりしていることを暗示します。でもチャンスはあっても、自分を絶えず鍛え、高める努力をしなければ、人間は素質や運だけではチャンスはつかめません。

あるいは、チャンスというものはいい状況がめぐりあわせとして来ているに過ぎません。

チャンスをただ見ているだけではなにも得られません。

獲得するための意志を持たねば、チャンスは来ていても得られないということです。

千載一遇のいい機会が来ようとしているからこそ、最大限、これまでにないほど努力せよ!それが<䷀ 乾(けん="Force")>に示される時への最大の指針となることでしょう。


爻辞(こうじ=Explanation of the Lines)

乾(けん="Force")
 6th:陽:上9(Upper9)
 5th:陽:95
 4th:陽:94
 3rd:陽:93
 2nd:陽:92
 1st:陽:初9(First9)

※上9(Upper9)、95、94、93、92、初9(First9)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。

◇1st 陽 初9=First9(初爻:陽位)

「宇宙の推進力である龍がまだ地中に潜んでいて表に出てきていない。まだ時期は至っていないのであなたは積極的な行動に出るべきではない。」初爻 初九は、潜龍(せんりょう)。用いることなかれ。 (初九、潜龍。勿用。)

(※一番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)


<䷀ 乾(けん="Force")>に示されるエナジーを、易経では龍にみたてています。

地中から天に上り、雲を集め雨を降らせ、すべてのものに命を吹き込む偉大なエナジーが<䷀ 乾(けん="Force")>です。しかし初9(First9)はこの卦(か=Hexagram)の始まりで、一番下にいます。

まだ動機やエナジーが地中で発生したばかり。

地中に隠れている龍のようなイメージです。


人間でいえば、すぐれた能力やリーダーとしての器を持っている人物が、社会の最下層に隠れている。まだ誰もその存在すら知らない、といった感じでしょうか。

あなたはいちばん初めの状態にいるので、まだいろいろと事を起こすほどの力がありません。

これはたとえば、非常にいいアイデアが芽生えたのですが、まだそれを実行できる段階にはない、といったことを意味します。

「用いる」とは易経においては「実行にうつす」とか「意を決して前進する」といったことを意味しますが、ここでは「用いるなかれ」。

今はまだ積極的に行動に打って出る段階ではないことを意味します。

なにごともふさわしい時期があります。

今はタイミングを待つことが重要だということを易経は述べています。

占ってこの爻(こう=Line)が出た場合、今は計画や行動を実行に移すべきではありません。


◇2nd 陽 92(二爻:「中」位置:陰位))

「出現した龍が地上にいる。目上の実力者と知り合い、援助を受けるチャンスである。」

二爻 九二は、見龍(けんりょう)田(でん)にあり。大人(たいじん)を見るに利あり。 (九二、見龍在田。利見大人。)

(※二番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。「中庸」を意味する場所。)


92では、龍に象徴されるエナジーが、地中から世界に出ました。

二番目の位置は、易経では「中」=中庸=ニュートラルでこだわりがなく、どの方向にも柔軟に動ける自在のバランスが取れた状態にあることを暗示します。

易経ではいたるところでこの「中」位置のことは出てきます。

「中」は上卦(Upper trigram)の中心で、「陽」が入るとめでたいとされる五番目の位置と、下卦(Lower trigram)の中心で「陰」が入るとめでたいとされる二番目の位置を指します。

92は本来は「陰」が入るべき場所に「陽」が入っていますから、正しい入り方ではなく、「不正」です。

が、<䷀ 乾(けん="Force")>では純粋で創造的なエナジーが健全な状況を作り出しますので、二番目の位置に「陽」が入っても問題にはしません。

さて、地上に現れた創造のエネルギーは、オーラを放ち、すべての人が注目します。

傑出した人物が現れるという、めったにない状況が出現したから目立ちます。

いろんな人が彼のところに寄ってきますが、ここでは道理をわきまえた目上の実力者と知り合い、その力添えを得るまたとないチャンスです。

易経で言う「大人(The big man)」というのは、どんなに素質をもっていても、人間は社会的な生き物なので、孤独では大きなことはできない、ということを意味します。

易経でよく出てくるフレーズ、「目上の実力者である大人(The big man)と知り合い、援助を受けるチャンスである」が意味するのは、実力者の援助を待ってから行動しなさい、ということ。

この爻(こう=Line)を得た場合、今は注目されている状態です。

でも、まだまだ力不足。

注目されているときは、人脈を作るのに良い時期です。

力になってくれる有力な協力者を探してその助言や援助を受け入れましょう。


◇3rd 陽 93(三爻:陽位)

「賢者は一日中、創造発展の努力をやめない。日が暮れても、まだ改善努力ができないかを考える。少しバランスを失い先走って入るけれども、そのように日々仕事に打ち込むならば問題はない」

三爻 九三は、君子終日乾乾(けんけん)す、夕べまで惕若(てきじゃく)たり。厲けれども咎なし。 (九三、君子終日乾乾、夕惕若。厲无咎。)

(※三番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)


93は、世の中にデビューした92の状態から時間が少し流れています。93はさらに上へ昇ってやろうとがむしゃらに前へ進もうとしています。

彼はがむしゃらに仕事を進めていきます。

デビューした当時は謙虚さがありましたが、今はさらに名をあげよう、実力をつけようと努力する若手のような状態です。

なので、朝から晩までまだなにか足りていないことはなかっただろうか、と心配になります。

しかし、93はそうした自省の態度を忘れなければ、バランスを見失っているこの時期を、彼はなんとか乗り切れるだろう、と易経は判断を出します。

道の完成者になりたければ、あなたはまずは常に努力して創造発展に取り組むことです。そしてまた常に自分に過失や問題がないだろうか、と反省してかえりみること。

それができればあなたはがむしゃらに進んでいっても、問題は起こらないよ、というのがこの爻(こう=Line)の判断です。


◇4th 陽 94(四爻:陰位)

「龍は、飛ぼうか、やめようかと戸惑って行きつ戻りつしながら崖っぷちにいる。こうした慎重さがあれば問題はない。」

四爻 九四、或いは躍りて淵にあり。咎なし。 (九四、或躍在淵。无咎。)

(※四番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。)


94は上卦(Upper trigram)の一番下で、四番目の位置は陰位ですので本来はおとなしくしているべき場所です。しかし想像力に満ちた龍は積極的に動こうとします。

立場と性質がミスマッチなのです。

94は場違いなこの場所にきてしまったのです。

94は高い山の崖にいますから危険でもあります。

龍は飛び上がれば天に昇っていけそうだけれど、下は深い谷の暗闇で、失敗すれば転落してしまいます。

勇気がもてず、飛ぶか飛ばないかを悩んで龍はそわそわ落ち着きません。

しかし、それは慎重であるともいえます。

なにごとにもタイミングというものがあって、それをしっかり見て行動することは大切です。

易経の判断としては、そのように慎重にやっていくならば、災いを避けることができる、というものです。

この爻(こう=Line)が出た場合、今はチャンスではあり、成功すれば天に登りますが、失敗すれば奈落の底です。

タイミングが重要です。

しっかりタイミングを計って行動しなさいよ、そうできるならば飛躍のチャンスを得ることができるよ、といった意味になるでしょう。

チャンスが来ていることは間違いないので、慎重にやってください。


◇th 陽 95(五爻:「中」位置:陽位で君位)

「飛び立った龍がいまや天に昇っている。目上の実力者と知り合い、援助を受けるチャンスである」

五爻 九五、飛龍(ひりょう)天にあり。大人を見るに利あり。 (九五、飛龍在天。利見大人。)

(※五番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。「中庸」を意味し、君主を意味する場所。)


龍はついに天に昇りました。

たぐいまれな創造力をもった実力者が、ふさわしい地位についた、理想的な状況です。

五番目の位置は、上卦(Upper trigram)の中心で「中」の場所、しかも「陽」が入るべき場所です。

「中」=中庸=ニュートラルでバランスが取れたこだわりを持たない状態ですから、すべてにおいていい状況です。

ただし、易経はあくまで人間界の摂理を説くので、そうした地位にいたとしても、人間は孤独ではなにもできないことをくぎを刺します。

高い理想的な地位にいるからこそ、さらに優れた実力者と知り合うチャンスに恵ます。

そうすることでさら大きなことができるチャンスとなる、と易経は言うのです。

92でも「大人(The big man)」は出てきましたけど、95ではもっと大きなスケールで、もっと大物と協業することで世界を救うことができる、と易経は付け足しているわけです。

この爻辞(Lower trigram)は、また別な解釈があります。

「今、目の前に天に飛ぶ龍のような人物が現れている。この人物についていき、援助を受けるにはいいタイミングだ」

占い手が、現状をよく観察して、どちらの解釈が適切かご判断ください。

いずれにせよ、あなたには今やまさにチャンスが来ていますので、大きな事業を進めていきましょう。


◇6th 陽 上9=Upper9(上爻:陰位で無位)

「龍は高く昇りすぎて降りれなくなってしまった。あなたは今のままでは後悔する。」

上爻 上九、亢龍(こうりょう)なり、悔あり。 (上九、亢龍有悔。)

(※六番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。属性がない場所。)


上9(Upper9)は、<䷀ 乾(けん="Force")>の示す時間の終極点です。<䷀ 乾(けん="Force")>はその巨大なエナジーの制御を失ってしまいました。その象徴である龍は暴走して誰もついていけない高みまで行ってしまいます。

龍は高く高く昇りすぎて、降りることもできなくなってしまいました。

人間で言うならば地位が高くなりすぎてすべての自由を失ってしまうとか、圧倒的になりすぎて誰もついてこないとか、能力が高すぎてその言わんとすることを誰も理解しないとか、力があることがもたらすマイナスの状況を意味します。

創造のエナジーは極限に達していて、誰も対応するものがいないのです。そればかりか、そのエナジー大きさにあなた自身が耐え切れなくなってしまっている、そんな状態です。

さて、このままでは後悔するよ、と易経は言うのです。

しかし、易経の出す見通しというのはあくまでも現在の自分の状況から見える未来を暗示するものです。後悔しない道もまたあるかもしれません。

未来は、あなたの今の状況を自由意思をもって変えることで変わってきます。この卦(か=Hexagram)が出たからといって、破滅が確定しているわけではありません。

破滅しないように、在り方を見直し、変えなさい、と易経は忠告しています。

あなたは独断専行がひどくなっていないでしょうか。

能力や権力は、多くの人をいい方向に導く要素を持っています。が、その使い道が独善的、利己的になった場合は誰もついてこなくなります。

能力が高い人は誰も逆らえない暴君や独裁者にもなってしまう可能性があるのです。

そうした可能性や傾向をこの爻(こう=Line)は強く警告します。

あなたは考え方をリセットして、自分の持つ力の使い方を考え直す必要がありそうです。


◇用九(Use9:すべてが老陽の場合の特殊ケース)

「天空に龍が群がっているが、よく見るとその龍たちは首がない。安心して人々が集まってくる。吉である。」

用九 用九、群龍の首なきを見る。吉。 (用九、見群龍无首。吉。)

用9(Use9)とは、<䷀ 乾(けん="Force")>だけにある特殊ケースで、すべてが老陽で構成される場合です。

さて、ここまで<䷀ 乾(けん="Force")>の表象イメージを追ってきました。

<䷀ 乾(けん="Force")>はすべてのものの創造の源で偉大なエネルギーでした。人間においては高い能力や大きな権力の象徴でもあるわけですが、絶えず前進し昇っていこうとする圧倒的な能力や権力は、他の者から観たらおそろしい脅威にもなります。

上9(Upper9)では、その力が過剰になって暴走し、誰ももはやついてこれない、という表象イメージがありました。

用9(Use9)は人間世界の一つの真理を示します。

群がった龍は、ものすごく、圧倒するエネルギーです。

これを人々が恐れるようなら、だれも龍たちに協力してくれず、力はあっても、世界に対してなにも働きを残すことができません。

でももし群がる龍たちの首がすべてなければ、人々は「なーんだ」とホッとするでしょう。

圧倒的なパワーをもっている人は、安心感を周囲に与える必要があるということです。「ホッとした安心感」があればを与えることができるならば、人々は恐れず寄ってくるから非常に吉でいい状態になるのです。

能力が高いものほど、温和に、愛嬌をもって人と接するべきなのです。

権力を持つものはやさしくなければなりません。

そうした人間学を示して<䷀ 乾(けん="Force")>は締めくくられるのです。



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